作成:2021・01・11


お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。


 

 EL-ニッコール 50mmF2.8/50mmF4とマクロタクマー50mmF4


EL-ニッコール 50mmF2.8 と EL-ニッコール 50mmF4
マクロタクマーも比較してみます
 
 学生時代のことですが、安価なLPLの引き伸ばし機セットを買ったのですが、バットや竹ピンセットなども買わねばなりませんでした。本当は、EL-ニッコール 50mmF2.8にしたかったのですが、EL-ニッコール 50mmF4にせざるを得ませんでした。卒業して就職すると時間的な余裕はなく、時代もカラーフィルムの時代になっていました。
 そして、ネガフィルムをフラットベッドスキャナーで取り込んでPCの画面で見ることができるようになり、さらに、安いフィルムスキャナーで取り込むことができるようになっても、引き伸ばし用レンズだけは未練があり、捨てることはできませんでした。
 
 ベローズに引き伸ばし用レンズを付けて、クローズアップ撮影を試したことはありますが、セットするのが面倒です。α7RII とLM-EA7を使うと、AFでネガフィルムの複写や一般撮影が容易です。EL-ニッコールは、撮影レンズによるネガの分解能を上回る解像力、印画紙の感光する近紫外域の像面と可視光域の像面を一致させて収差補正をしていると謳っています。せっかく、引き伸ばし用レンズの中間アダプターを準備したのですから、EL-ニッコールの写りに期待が膨らみます。

 

1.EL-ニッコール 50mmF2.8



EL-ニッコール 50mmF2.8 試写(一般撮影)



ピクセル等倍画像 (部分)

 
 正直なところ、AFでたまたまピントがあった部分です。

 伝説的な引き伸ばし用レンズなので、α7RII の画素数ではシャープネスの評価は無理ですが、マイクロニッコールPオート 55mmF3.5を凌駕しているかもしれません。

 ただし、距離に応じた補正を効かせる訳ではないので、遠景で撮影した写真を拡大すると、僅かながら、コマ収差、軸上色収差、倍率色収差が発生していてびっくりしますが、それでも鮮明です。
 とにかく、レンズ性能全般がよいため、驚きのコントラストで、描写も蒸留水みたいにニュートラルですが、熱湯なので気を付けないといけません。。。個人的な感想です。
 忘れていました。このレンズは引き伸ばし用レンズなので、お薦めの使用倍率:2-20倍があります。そのため、良好に使える範囲があるようです。カタログにフィルタ径40.5mmのリバースアダプタが用意されていたのは、縮小して焼き付けるときに使うのだと判りました。

 光線状態によってフレアで若干カブるときがあり、気になっていたのですが、すこし薄カビが発生していて、ヌケが悪くなることがあるようです。いちおう、レンズ清掃をして見極めたいと思います。

 

2.EL-ニッコール 50mmF4



EL-ニッコール 50mmF4 試写(一般撮影)


ピクセル等倍画像 (部分)
 
 EL-ニッコール 50mmF2.8のように、近接撮影のシャープネスに驚かされたり、遠景での収差にびっくりすることはありません。
 開放では、わずかな軸上色収差を確認できますが、広範囲な撮影距離で安定した描写をします。アウトフォーカス部は二線ボケ手前ですが、絞ってさらに鮮明になる普通にシャープなレンズなのが取り柄です。
 
 このEL-ニッコール 50mmF4はとてもコンパクトなレンズで、フィルタ径は34.5mmです。いずれのEL-ニッコールも最小絞りはF16です。
 1967年登場のEL-Nikkor 50mmF4は、テッサータイプ 3群4枚構成です。このレンズは、引き伸ばし機に付けて、紙焼きに使ったり、8mmシネフィルムをコニカFTAのボディ内に投影してネガを作成していました。FTAはフランジバックが40.3mmと短いので無限遠がでそうでしたが、ピント合わせの方法が実現できないので一般撮影には使えませんでした。

 

3.マクロタクマー 50mmF4



マクロタクマー 50mmF4 試写(一般撮影)



ピクセル等倍画像 (部分)

 
 たまたまでもピントが合うとシャープネスにやはり驚きます。もちろんα7RII の画素数ではシャープネスの評価はできません。
 普通に使うのであれば、等倍まで拡大することはあまりありませんし、少しは絞って撮影しますから、そんなにピントに神経質になることはないと思います。
 
 開放F4で撮影した写真の周囲には、僅かながら、軸上色収差が確認できます。中心のアウトフォーカス部にはきれいな玉ボケがでますが、周囲はあまりきれいとは言えません。
 本科の追加ページ「気になる マクロタクマー 50mmF4」と重複しますが、1964年登場のマクロタクマー 50mmF4は、3郡4枚構成のテッサータイプです。プリセット絞りで、等倍までレンズを繰り出すことがことが特徴です。1966年には自動絞りのスーパーマクロタクマー50mmF4が登場しますから、わずか2年で交代し、しばらく併売されていました。ライカマウンアダプターAが供給されていましたから、いちおう、引き伸ばし機に装着することを考慮していたようです。
 プリセット絞りのマクロタクマー 50mmF4の絞り羽根は8枚ですが、自動絞りのスーパー/SMCマクロタクマー50mmF4は5枚です。最小絞りはいずれもF22です。マクロタクマーは鏡胴に余裕があるため、コントラストもよく内面反射によるフレアも見られません。同じテッサータイプのEL-ニッコール 50mmF4と大変よく似た描写をするレンズです。
 
 せっかくの特製中間アダプターなのですが、MFに切り替えてもピント合わせをするヘリコイドがありません。また、LM-EA7の繰り出し量の4.5mmだけなので、クローズアップ撮影では、何らかの方法でレンズを繰出すことが必要で、引き伸ばし用レンズでは、ヘリコイド付 M42-Mマウウントアダプターを使うことになります。
 一方、マクロタクマーのヘリコイドは無限遠から等倍まで繰出せます。Sマウントのレンズなので YIYO M42-Mマウントアダプターを使用しました。これらのレンズの、このシャープネスを極めるためには、やはり、LM-EA7に頼らず手動でピント拡大をして正確にピントを合わせることが必要だと痛感しました。

 屋内での半押しAFは、いずれも、開放からF5.6程度までしか使えません。開放で親指AFでピントを合わせ、絞り込んでからシャッターを切ることになります。

 

このα7RII (FW Ver.4.00)とLM-EA7(FW Ver.6.0)での動作なので、記載内容が再現しない場合はご容赦ください。引き伸ばし用レンズを取付ける中間アダプターは、「2.引き伸し用レンズでもAF撮影したい」を参照ください。
 

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   更新日 : 2021・01・11.